【CHEF’S VIEW】ローマの春料理「ヴィーニャローラ」

CHEF'S VIEW

CHEF'S VIEW(シェフの視点)では、オンライン講座で取り上げる食材や調理法などをテーマに、伊崎シェフならではの視点で、美味しい料理に関する記事をお届けしています

ヴィーニャローラ

ローマの伝統料理

「vignarola」ヴィーニャローラは、春野菜がたっぷりの伝統的なローマ料理です。

20年ほど前の冬から春にかけて私が働いていた、ローマにある200年前から続くリストランテでは、毎日の野菜の仕込みは、シェフ達ではなく、当主の家族のお仕事。家族三代が客席のテーブルを囲み、直径50センチ長さ1メートル近くのカルチョフィロマーナ(ローマ特産の大ぶりで軸も太くて美味しいカルチョフィ)の束や、山盛りの空豆などがテーブルの上に置かれ、小さなナイフと手でカルチョフィの皮を剥き、鞘から空豆を取り出し、時おり笑いあいながらも着々と野菜たちは仕上げられていきます。それらの野菜が厨房に運ばれて、シェフ達が料理していました。

客席にある剥かれた皮や鞘からは、少しアクを感じる青い野菜の香りが流れてきて、厨房で茹でられた野菜の、春らしい優しくあまい香りと混ざりあい、厨房だけでなくリストランテ全体が、その香りに包まれていた覚えがあります。

ヴィーニャローラの香りは、まさしくその春の香り。

一般的には、ローマ名産のグアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)とペコリーノロマーノチーズを使いますが、今月のオンライン講座では豆やアスパラガスなど旬の野菜の香りをより深く味わうことができるように、野菜だけでつくる「ヴィーニャローラ」を取り上げます。

炒め煮するだけの単純な料理なので、素材の味を殺さずそれぞれの個性を活かすポイントや、素材そのものの見分け方から熱の加え方、全体を馴染ませるコツなど、調理のポイントがたくさんあります。そこをしっかりおさえれば、とても美味しいヴィーニャローラがつくれます。

ヴィーニャローラは、温かくても冷めてもとても美味しい料理ですので、お肉やお魚の副菜として、またパニーニやブルスケッタ、ホットサンドなどパンに合わせる具材やパスタに合わせる具材として、とても幅広く展開できる料理です。

今回は、白身魚の代表として鯛を取り上げ、メインの魚料理のソース兼副菜として美味しく食べる方法を合わせてレッスンしていきます。

フラスカティなどローマの白ワインと一緒に、ヴィーニャローラの春の旨味をたっぷりと味わって頂けたらと思います。

4月のオンライン講座

4月のオンライン講座は、アスパラや空豆など、春の野菜をオリーブオイルと塩で蒸し煮にした代表的な春のローマ料理「ヴィーニャローラ」、そして伊崎シェフのスペシャリテ、辛いトマトソースをベースにした「白ゴマとパクチーの辛いトマトソース スパゲッティ」、の2つをご紹介します。それぞれベースとなるソースですので、その活用として、展開料理も合わせてレッスンします。

この機会にぜひ伊崎シェフから直接習ってみてください。美味しい料理が作れるコツや工夫が満載です。

皆さまのご参加をお待ちしております!